経営コンサルタントとして、日本で唯一の国家資格でもある中小企業診断士。
実際に中小企業診断士がコンサルティングでどのぐらい稼いでいるのか、気になりますよね?
そこで本記事では、一般社団法人中小企業診断協会が2016年に調査した「データでみる中小企業診断士2016年版」をもとに、コンサルティング業務で稼ぐ報酬についてまとめました。
この記事の目次
中小企業診断士の平均年収は約740万円
中小企業診断協会によるアンケートのデータでは、平均年収は739.3万円(約740万円)と公表されています。
ただ、「年収3001万円以上」と回答した人たちを除いた平均額なので実際の平均値はさらに高くなると考えられます。
国税庁の民間給与実態統計調査結果によると、2016年の日本の給与所得者の平均年収が約420万円でした。
これに対して中小企業診断士の平均740万円は、非常に高収入だと感じられますね。
中小企業診断士の年収については、以下の記事でさらに詳しくまとめています。興味のある方は、こちらもあわせてお読みください。
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中小企業診断の仕事の種類別平均報酬
中小企業診断協会が公表している「データでみる中小企業診断士2016年版」によると、公的業務が多い中小企業診断士と、民間業務が多い中小企業診断士への2極化が進んでいることがわかりました。
それぞれの報酬の内訳をまとめてみました。
「公的業務がかなり高い」中小企業診断士の報酬
回答数 | 平均 | ||
診断業務 | 平均額 | 114 | 47,500/日 |
最高額 | 107 | 87,100/日 | |
経営指導 | 平均額 | 141 | 37,900/日 |
最高額 | 133 | 67,900/日 | |
調査研究 | 平均額 | 44 | 37,100/日 |
最高額 | 42 | 68,800/日 | |
講演・教育訓練 | 平均額 | 98 | 51,700/日 |
最高額 | 93 | 95,300/日 | |
原稿執筆 | 平均額 | 37 | 6,800/枚 |
最高額 | 34 | 12,200/枚 |
中小企業診断士は業務独占資格ではありませんが、公的機関から依頼される業務があります。
上記のデータは、公的機関から仕事を受けている割合が高い中小企業診断士の平均報酬額です。
公的な機関からの業務は、商工会議所や商工会、中小企業基盤整備機構から依頼されていることが多いようです。
「民間業務がかなり高い」中小企業診断士の報酬
回答数 | 平均 | ||
診断業務 | 平均額 | 112 | 105,200/日 |
最高額 | 102 | 160,300/日 | |
経営指導 | 平均額 | 182 | 110,100/日 |
最高額 | 167 | 163,000/日 | |
調査研究 | 平均額 | 42 | 64,800/日 |
最高額 | 36 | 93,400/日 | |
講演・教育訓練 | 平均額 | 127 | 125,000/日 |
最高額 | 115 | 177,600/日 | |
原稿執筆 | 平均額 | 55 | 8,500/枚 |
最高額 | 50 | 12,700/枚 |
次に、民間企業から受けている仕事の割合が高い中小企業診断士の平均報酬額についてです。
全体的に公的機関から仕事を受けている中小企業診断士よりも、報酬が高い傾向にあります。
中小企業診断士は中小企業支援機関・商工団体から仕事を取ってきていることが多い
コンサルティング業務を行っている中小企業診断士が依頼を受けるきっかけの第1位は、「中小企業支援機関・商工団体などからの紹介」です。
公的機関から受ける業務は、民間企業からよりも報酬額が低い傾向にありますが、公的機関から多く仕事を依頼されていますね。
また、2~5位も紹介から受注しています。
つまり、中小企業診断士は他の業態以上にコネクションから仕事につながりやすく人的ネットワークづくりが大切とも言えます。
専門領域を作って周囲に自らを売り込んでおくと、顧問先企業や同業者、金融機関などを通じて、自らが想定するお客様から仕事が舞い込んでくる可能性が高まります。
公的業務より民間業務のほうが報酬は高いが仕事はとりにくい
上記のグラフは、公的機関から受けた仕事と民間企業から受けた、診断業務、経営指導、調査研究、講演・教育訓練、原稿執筆という業務を、それぞれ1日の平均報酬額で比較してみました。
すべての項目で、民間企業から依頼を受けた仕事の平均報酬のほうが高いことが分かります。
ただ、すでにふれた通り、仕事を受けるきっかけの第1位は、「中小企業支援機関・商工団体などからの紹介」です。
公的機関から業務を受注したい場合、まずは何かしらのイベントに参加したり、各都道府県の中小企業診断(士)協会の研究会などでネットワークづくりを行ったりすることで比較的、仕事の情報を手に入れやすくなります。
それに比べると、民間企業から仕事を受けるほうが難易度が高いといえます。
何かしらのコネクションや実績がないと企業との接点も作りにくく、コンサルティング業務を行っている診断士の中でも、ハードルが高いからです。
しかし、一度業務を受けた際に高評価を得られたら、高単価の仕事につながります。
さらに継続できればその後は安泰です。
具体的には副業でコンサルティング業務をスタートし、継続的に仕事がもらえて軌道に乗ってから独立すれば、不安のない起業生活を送ることができますね。
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